笑顔のコミュニケーション
「松江に今まで無かった。を、おもしろく!」をテーマに、野生鳥獣肉の利活用や地域資源を活用した商品開発などに取り組む合同会社弐百円。松江市地域おこし協力隊が任期終了後に設立した法人だ。
代表社員の1人である森脇さん。浜田高校卒業後、広島の大学へ進学し、そのまま管理栄養士としてドラッグストアで13年間勤務。持ち前の笑顔や好奇心、コミュニケーション能力で顧客の心を掴み「笑顔の管理栄養士」と評価された。広島の生活に不自由はなかったが、島根出身の夫と双子の子どもと暮らす中で「いつか島根で」という思いが年々強くなっていった。
そんな折、引き寄せられるように夫のふるさと松江市で始まる地域活性化プロジェクトと出会い、直感とご縁を信じて移住を決意。協力隊一期生として、地域に入り込んで課題に向き合い走り続ける3年間を過ごした。市内のアンテナショップ「八百万マーケット」の立上げ、狩猟免許取得、地域産品を活用した商品開発などを経験。
森脇さんの印象を周囲に聞くと「明るさ」「笑顔」という答えがあがる。しかし、その裏側で、たくさん悔し涙を流すこともあったという。地域に入り、地域の方々と一緒に活動しようとしたが、初めは関係づくりに苦労することも。悔しすぎて何度も地域に通い続けた。勉強もした。そして、どんな場面でもいつもの笑顔は絶やさなかった。森脇さんの本気さや人柄が次第に伝わり、徐々に信頼感が増してくると、頼まれごとが増えてきた。地域の方々の「やりたい」「困っている」をサポートすることが好きで、地域の人との交流が今の活動の源になっている。
森脇さんは、合同会社弐百円だけでなく、食育インストラクター、マザーズティーチャー、多胎育児サークル、ドラマーなど、多様な顔を持つ。最近では、「いただきますの話」という物語を地元絵本作家と共同で製作し、紙芝居の読み聞かせ活動も開始。紙芝居でも普段の会話でも、キラキラと光る笑顔で自然体に語る姿は人を惹きつける。管理栄養士時代から今に至るまで、どんな立場の時にも根底にあるのは笑顔のコミュニケーション。目の前の人やその背景にある想いを大切に、一つ一つへの感謝を忘れない森脇さんの周囲には、笑顔の人が集まってくる。
(N)